アクティビティ所要期間の『三点見積り』

プロジェクトのスコープを決め、WBSに落とし込み、アクティビティの順番を決めたら、次に各アクティビティの所要時間を見積もる。その際、PMBOKガイドで紹介されているツール・技法には以下のものがある。

 

PMBOKガイドが紹介する、スケジュール見積りのツール・技法

 

  • 専門家の判断:特別な教育を受けたり、知識、技能、経験をもっていたり、トレーニングを受けていたりするグループや個人を活用する
  • 類推見積り:類似のアクティビティやプロジェクトにおける過去の実績(データ)を使って、アクティビティやプロジェクトの所要期間またはコストを見積もる。プロジェクトについて詳細な情報がわずかしかない場合によく用いられる。
  • パラメトリック見積り:過去の工数(データ)などを目的変数として、説明変数に規模や要因などをアルゴリズムとして設定し、数学的な関数として表す
  • 三点見積り:後述
  • ボトムアップ見積り:WBSの下位レベル校正要素単位の見積りを集計してプロジェクトの所要期間やコストを見積もる
  • 会議:アジャイル手法のプロジェクトでは、フィボナッチ数列のカード等を使用しデルファイ法を用い、会議メンバーの意見を収斂して見積もる。参考『ユーザーストーリーの見積りになぜフィボナッチ数を使うのか?』『情報マネジメント用語辞典:デルファイ法

※PMBOKガイドでは「データ分析」「意思決定」もツール・技法に含むが、粒度が異なるので除外。
※「専門家の判断」「類推見積り」「パラメトリック見積り」「ボトムアップ見積り」「三点見積り」は、スケジュール見積りだけでなく、コスト見積りにも有効とされる。

 

この中で今回は『三点見積り』についてまとめます。

 

三点見積り( three time estimate )

 

未知の何かを予測する際、許される回答が1つより、3つの方が良い場合がある。予測の前提や条件にバリエーションをもたせられるため、強引な意思決定(○○が無かった場合に限定して想定した見積り等)を避けられるため、信頼度確率を上げられる。

 

三点見積りの「三点」とは下記の通り;

  • 楽観値:予想される最短値。最良のシナリオで、トラブルも無い前提の値
  • 最頻値:最も可能性の高い値。通常のシナリオを前提とした値
  • 悲観値:予想される最長値。最悪のシナリオで、トラブルもいくつか発生する前提の値

 

以上三点を用い、三角分布やベータ分布の加重平均で見積もりの「期待値」を計算します。

 

よく使用される計算方法は、下記2つ;

  • 三角分布による計算
  • ベータ分布による計算

 

三角分布による計算

 

期待値=(楽観値+最頻値+悲観値)÷3
例)楽観値=2日、最頻値=5日、悲観値=7日の場合;
 => (2+5+7)/3 = 4.66日

 

ベータ分布(PERT分析)による計算

※PERT = Program Evaluation and Review Technique

 

期待値=(楽観値+最頻値×4÷悲観値)÷6
例)楽観値=2日、最頻値=5日、悲観値=7日の場合;
 => (2+5*4+7)/6 = 4.83日

 

標準偏差値=(悲観値−楽観値)÷6
例)楽観値=2日、最頻値=5日、悲観値=7日の場合;
 => (7-2)/6 = 0.83日

 

期待値の見積り範囲=(期待値ー標準偏差値)σ < 期待値 < =(期待値+標準偏差値)σ
※ σはどの程度の確率範囲にするかに依存する。約68%の確率範囲のσ1の場合1を代入。約95%のσ2は2を、約99%のσ3は3を代入する。スケジュール見積りは、通常σ1で問題無いため1を代入する。
 
例)期待値=4.83日、標準偏差値=0.83日の場合の期待値の見積り範囲は;
 = (4.83-0.83)*1 < 4.83 < (4.83+0.83)*1
 => 4日 < 4.83日 < 5.66日

 

この「見積り範囲」を「信頼区間」と呼ぶ場合もある。

 
 

参考)

 
 

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