双方の視点を理解し、プロジェクト成功に導くために

大企業の「チェックポイント文化」
大企業では、ひとつのサービス提供に多数の専門部署が関与します。企画立案から承認、そして開発まで、各工程で複数のチェックポイントが設けられ、社内の多数の専門家が連携を図ります。
たとえば、企画担当者が立案したプロジェクトは、まず直属の上司、次いで事業部、場合によっては役員会での承認を経ます。承認が下りると、開発、情報システム、顧客対応、法務、知財など各部門との調整が始まり、実際の開発がスタートします。さらに、内製、外注、ハイブリッドといった体制の選定や、要件定義、設計、テストといったプロセスが厳格に管理されるため、プロジェクト全体には多くの時間とコストがかかる仕組みとなっています。
この厳密なプロセスは、安全性と品質を確保するためには有効ですが、同時にコミュニケーションのオーバーヘッドやスピード感の低下という課題も孕んでいます。
「即断即決型」のベンチャー企業
一方、ベンチャー企業は限られた人材とリソースの中で、迅速な意思決定と実行を求められます。
企画から実行、場合によっては社長自らがリードするケースも珍しくなく、計画よりも開発・実行に重きを置く傾向があります。小規模なチームならではのスピード感と柔軟性により、問題が発生しても迅速なコミュニケーションと対応でリカバリーを図ることが可能です。もちろん、稀に大きな問題が発生するリスクはありますが、全体の費用対効果を考慮すれば、後手に回るリスクは許容範囲と捉えられています。
大企業が参入しづらい領域への挑戦
大企業であっても、法規制やリスク管理の観点から自社でプロダクトを展開しにくい分野があります。
例えば、かつてのフィンテック市場では、資金決済法が追いついていない状況を受け、ベンチャー企業が先行して市場を席巻しました。近年では、M&Aマッチング市場など、法的グレーゾーンが存在する分野で同様の動きが見受けられます。大企業は、こうしたリスクが伴う市場への直接参入を避け、ベンチャー企業との資本・事業提携を通じて間接的に関与するケースが増えています。
両者のプロジェクト管理アプローチの違い
大企業は、リスクの先取りを重視し、事前の要件定義やテスト工程に多くの時間を割きます。これに対し、ベンチャー企業は開発プロセスに重点を置き、現場で問題を解決する柔軟さを求めます。
この違いから、大企業側からは「ベンチャーは設計やテストが雑で、品質に不安がある」という批判が出ることもあります。一方、ベンチャー側は「大企業の冗長なプロセスに付き合うより、スピード感を重視すべきだ」という主張を展開します。どちらの主張にも一理ありますが、資金の流れや市場環境を考慮すると、現状では大企業側の論理に合わせるケースが多いのが実情です。
双方の思考を橋渡しするプロジェクトマネジメントの重要性
このような大企業とベンチャーの違いを理解することは、プロジェクトの成功に直結します。
大企業の担当者であれば、ベンチャー側との円滑な連携を実現するために、両者のプロトコルを理解したプロジェクトマネージャーの存在が求められます。また、ベンチャー企業の経営者・担当者にとっても、大企業からの厳しい要求に適切に対応するためには、外部から経験豊富なプロジェクトマネージャーを迎え入れることが一つの解決策となります。
トースター株式会社では、大企業とベンチャー双方の思考やプロトコルを熟知したプロジェクトマネージャーを、スポットでのご提供が可能です。PC向け業務アプリケーションだけでなく、スマホアプリやSaaSなどのサブスクリプションサービスにも精通したPMが在籍しておりますので、プロジェクトの円滑な進行をお手伝いいたします。
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